2014年、日本国神奈川県茅ヶ崎市とアメリカ合衆国ハワイ州ホノルル市郡は、「姉妹都市」となった。ホノルルの中心部は、いわずと知れた世界のリゾート。ワイキキビーチを中心に、観光客が押し寄せる。
一方、茅ヶ崎市は、「湘南茅ヶ崎」として、サザンオールスターズの歌にうたわれるなどして知られるようになったものの、東京のベットタウン。のんびりした海辺の、ホノルルに比べれば小さな町だ。
▲市議会議場でのフラショーでアロハ議会がはじまった(茅ヶ崎アロハ委員会ホームページより)
「姉妹都市締結」の話は、商工会議所同士の経済交流があり、茅ヶ崎で夏季のクールビズに「アロハシャツ」を活用するアロハビズがはじまるなどして持ち上がったのが源流だそうだ。
茅ヶ崎では、5月から10月は「アロハビズ」の期間で、商業施設の店員さんがアロハ姿であったり、市職員さんもクールビズの軽装か、アロハシャツ着用になる。市議会でも「アロハ議会」となって、本会議など公式会議はアロハ着用だ。(ただし、他市への視察訪問などの際には、クールビズとしている)
▲1827年に建てられたホノルル市郡庁舎
では、ホノルルと姉妹都市締結をしているところは他にどこがあるのか?というと、世界の28都市に及ぶ。
日本国内でも、 広島市、那覇市、東京都、宇和島市、佐伯市、長岡市がある。
では、何がきっかけであったか?
第二次世界大戦時のつながりと、軍港などの背景があるという。ホノルルには、第二次世界大戦が勃発するきっかけとなった、真珠湾(パールハーバー)がある。アメリカ国内で、日本の直接攻撃を受けた唯一の場所と言っても過言ではない戦跡だ。このような歴史的背景から、軍港などの歴史を持つ町との姉妹都市締結が行われてきたのだそうだ。
しかし、茅ヶ崎の姉妹都市締結は、まったく別方向、軍とは関係ないことからはじまった。決して大規模ではなかっただろう経済交流。
後押しとなったのは、ハワイ固有の文化であるサーフィン。このマリンスポーツが、日本にやってきて、初めて享受されたのが茅ヶ崎海岸ともいわれており、日本最古級のサーフボードが、市役所や明治時代創業の旅館・茅ヶ崎館に展示されている。
サーフィン連盟は、市の姉妹都市締結にさきがけて連携を結び、ホノルル市長杯なども開催されるようになった。フラも盛んで、今や200を超えるハーラウが市内に存在するともいわれる。毎年GW初旬にビーチで開催される湘南祭のメインステージは、フラの世界でも有名だ。
▲上段:ホノルルの「チャイナマンズハット岩
下段:茅ヶ崎の「烏帽子岩」をモチーフにしたワッペン
姉妹都市の締結文の中にも、「共通のビーチカルチャー」という文言がある。
そして経済交流はもちろん、文化、平和交流もうたわれている。
締結から1年半。まだまだ市の交流事業も少なく、「なんのために?」との批判も多い。
しかし、偉い人たちが、サインをし、記念式典をするだけではない交流、名目だけにしない活動をぜひ作り上げたいものだと思う。
源流に、自然を享受するビーチカルチャーの豊かさがあり、そこから作り上げる交流。アニミズムをその起源とするハワイの神話は、日本の八百万の神々にも通じる。
「ALOHA」というハワイ語には、たくさんの意味が封じ込められているという。
はじまりは、本当に小さなひとしずくだったかもしれないが、お互いが持つ豊かな部分をつなぎ、海を愛する文化から、これまでの日本との間にはなかった「姉妹都市」に発展させられるのではないだろうか?
のんびりと、ゆったりした気風は、とても重要で素敵なもののように思える。
▲姉妹都市締結にあたりホノルル市郡から贈られたパドル(茅ヶ崎市ホームページより)
●INFORMTION
茅ヶ崎市
神奈川県の南東部に位置する人口23万人の都市
姉妹都市について
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