湘南茅ヶ崎の浜は、南に開いている。東に江ノ島を望み、富士に夕陽が沈む。
とても柔らかい曲線の海岸線が続いていて、どこまでも続いていくかのように思える。豊かで、明るい印象だ。
しかし浜はやせ細ってしまった。
砂が流れ出るはずの相模川にダムができ、高度経済成長期にコンクリートの材料として、砂が採取され、浜に沿って東西に運ばれていた砂の流れは、突堤などで遮られた。地球温暖化の影響で巨大化した台風の大きな波が追い打ちをかけて、浜をえぐって、浜を削った。
奥:投入直後の養浜砂、手前:表面を風によって運ばれた砂が覆っている
茅ヶ崎の海岸では、世界でも珍しい10年に及ぶ養浜事業で、年間3万㎥砂を入れている。
そのコストは、1㎥あたり8000円。
ちなみに、オランダでは、大陸棚から年間2000万㎥の砂を大陸棚の海底から運んでいるそうだ。
茅ヶ崎海岸に運ばれてくるのは、相模ダムでせき止められ、ダム湖に溜まった土と砂。
近くでは、養浜砂の「成分」がよく見える。これは砂なのか?
川が流れによって岩をくだき、石を削り、砂を作り上げる過程は無視されたまま、ダンプカーによって運ばれる。
養浜事業を進める県は、9年で砂浜が40メートル再生し、魚たちにも影響は出ていないと言い続ける。砂は定着したと。
一方、地元では、いい波が立たなくなった。石ころだらけ。
良質の砂を入れてほしい…、との声が上がり続ける。
飛砂によって年輪のように砂が積もる。貝殻などが入っているところは、大きな波がきた痕跡だ。砂は、洪水、大きな波、風(飛砂)によって移動する
1年にダンプ5000台分の砂を投入。
現状はどうあれ10年間の投入と、観察と調査、データの蓄積は、世界中起こっている侵食問題=痩せ細る海岸にシェアすべき、私たちの「経験値」でもある。
そして毎日のように、あるいは週末に、あるいは定期的に海にでる、ひとりずつが感じ、積み上げる浜の感触も重要なデータだ。
2015年11月相模川の土砂の流れを自然なものに近づけ、管理する計画も策定された。しかし、未だ実施時期は全く未確定だ。
研究者、専門家だけではなく、日々過ごす人、浜を愛する人で浜を取り戻していきたい。双方の言い分が一致する、ウミガメもくる浜にむけて。
神奈川県ホームページより
茅ヶ崎海岸(中海岸地区)侵食対策事業について
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f4866/p14019.html
2014年までの実証資料
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/799520.pdf
相模川流砂系総合土砂管理計画
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f533618/
藤沢土木事務所なぎさ港湾課
茅ヶ崎市汐見台1-7
藤沢土木事務所汐見台庁舎
電話 0467-58-1473
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