サーファー暦
-Surfers’ Calendar-
「サーファーはグレゴリオ暦とは違う動きをする珍しい人種だよね」。
スケートボード、スノーボード界では数少ないジャーナリストで、スノーボードの国際ジャッジもつとめる日本の横乗り文化をよく知る化石のような人、石原繁氏と話をしていたときの一節だ。
いつもサーファーは潮回りとか月の満ち欠けを気にして生きていることを自分でもコラムに書いているけれど”グレゴリオ暦”なんてダイレクトな単語はあまり考えた事もなかった。
グレゴリオ暦 -Gregorian calendar-
1年365日。4年に一度、時間合わせのために閏年があるグレゴリオ暦は、今や、世界基準のカレンダーになっている。
日本では明治5年に採用され、明治5年12月2日の翌日を、明治6年1月1日にしたということだが、12月2日まで生活してきた人々に「突然ですが、明日が元旦です」といった通達は、当時の人々にとって、戸惑い以外の何ものでもなかっただろう。
いやもしかして、季節のうつろいがすべてであって、そんなに●月●日なんて気にせず生きていたのかもしれない。
さて、サーファーはグレゴリオ暦とは違う動きをする珍しい人種。
たしかに。一応は、、といったら怒られるけれど、日付にしたがって生きてはいるのが大半のサーファーである。
しかし大潮や小潮といった月齢、そして1日に起こる満潮・干潮、また南海上から押し寄せるスウェル。はたまた日本上空の気圧による風がもたらす風波を見極めて、世間的に月曜日だろうと水曜日だろうと、サーファーにとっては、その日が休日になるわけだ。
サーファー暦 -Surfers’ Calendar-
そんなタイトルをつけてみたこの記事も、何の気なしにgoogle検索してみると、当たり前だが、グレゴリオ暦にしたがった1月1日からはじまる当たり前のサーファー用のカレンダーの販売サイトが検索に出現する。
しかし、サーファーはグレゴリオ暦とは違う動きをする珍しい人種なのである。何もグレゴリオ暦にしたがって1月1日から始まらなくたっていい。
休日を強調する土曜日と日曜日が赤い文字になっている必要だってない。
なんなら大潮の日を赤い文字の日にして、波情報企業の過去の膨大なビッグデータを解析して、波がおおむね良い日を「体育の日」ならぬ「サーフィンの日」として祝日にしてみたらどうだろう。
各サーフブランドや時計メーカーがこぞって製品化する”サーファーズ・ウォッチ”も、グレゴリオ暦に準ずることなく、サーファー暦で構成したら楽しい。リップカールのGPSウォッチから集まった世界中のサーファーの行動パターンを分析して、波が良くトリップに適したタイミングをゴールデンウィークに設定するのはどうだろう。
兎にも角にも、世界一律ではない、サーファーとって利便性があって遊び心のある「暦」がこのコラムから生まれたら、なんと面白いことだろう。
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