スケーターにとって避けられない運命は、スケートデッキをこまめに交換することだろう。
スケートデッキは何層もの板が圧縮され1枚になっているのだが、毎日スケートをしているとトリックの難易度が上がるにつれ板の疲弊スピードも増してくる。
折れる事も日常茶飯事だ。
プロとなれば技の完成度に直接関係してくるため、一週間後には相棒でもあるこのデッキとサヨナラをしなければならない運命なのだ。
スケートアイテムの中でスケーターの個性が一番現れるのも、このデッキ部分だろう。
どんな技を好み、どんな滑り方をするかもデッキに刻まれた傷を見れば分かるようになるのである。
では、スケーターがサヨナラしたデッキの行方は何処か?
おそらく、大半は捨てるか、部屋の隅で眠るかなのだが
これを作品の材料として新しい物に蘇らせるアーティストが日本に存在する。
彼の名前は「HAROSHI」
元々は、HARVESTという名前でパートナーである春巻さんと共にジュエリーの下請けの仕事をしながらスケートを楽しむ生活をしていたのだが、
自分の部屋に残していた自分自身のスケートデッキを見てパートナーの春巻さんが一言発した事から全てが始まったのである。
最初は、その板を電ノコで加工しキーホルダーに作り直して販売していたのだが、
好評だった為さらに大きな作品として作った結果それが、あの大手BURTONの目に止まり、作品制作の依頼を受けるまでになった。
そして、2012年スケート界では老舗ブランドDELUXEと元々そこのライダーでもあったキース・ハフナゲルが設立したHUFの依頼で個展を開催し、
自らが制作した消防管を沢山の有名スケーターが飛ぶオーリーコンテストも行われ大盛況だったのである。
photo by Robert miceli on Flickr
photo by paul nlne-o on Flickr
2015年現在も、ブランドに所属するスケーターは使い終わったデッキをHAROSHIに提供し、作品の一部になることを楽しんでいるようだ。
また、スケートをしてない人からの称賛が多いのも彼の作品の完成度の高さが多くの者を魅了し、支持している結果なのだ。
スケーターが存在する限り、彼の作品は終わることなく続いていくだろう。
今年、ミュージシャン、映像作家や写真家、アート出版者と合同でHHH Galleryもオープンさせた。
数多くあるギャラリーの中でも要注目のギャラリーの一つだろう。
4月12日(日)まで葛飾区にある、そのHHH GalleryにてHAROSHIの個展「Wait What」が開かれているので、まだHAROSHIの作品を自分の目で見たことがない方は、ぜひ確かめに行ってみてほしい。
彼の技術の高さと、スケーターが残した傷の集まりを。
HHH gallery
http://www.hhhgallery.com/
東京都葛飾区小菅2-21-17
TEL:03-6662-9331
開廊日:土・日・祝日 12:00~20:00
京成電鉄堀切菖蒲園駅2番出口より徒歩4分