photos via Corticeira Amorim
メルセデス·ベンツポルトガルは、Corticeira Amorim社と共同で、新しいサーフボードの開発を発表した。
ポルトガルで最も人気のある海辺のリゾートでありながら、世界有数のモンスターウェイブがブレイクする場所として世界に知られるポルトガルの「ナザレ」。この地でメルセデス·ベンツポルトガルが開発した「シルバーアロー」と名付けられたサーフボードに乗り、ギャレット・マクナマラが世界記録を樹立しギネス申請されたことは記憶に新しい。
photo via MacNAMARA SURF TRIP
今回はその「シルバーアロー」の次世代モデル。いわゆるサーフボードのフォーム素材ではなく、なんと「天然コルク製」のサーフボードが発表された。
振り返れば、メルセデスベンツがかつて手がけたF1マシンの愛称である「シルバーアロー」の名をとり、銀の矢が疾走する姿を重ね「海における銀の矢」と名づけたと連想されるサーフボード「シルバーアロー(The Silver Arrow of the Seas)」を2013年開発。MBoard projectと題してモンスター級の波に耐えうる理想的なサーフボードの製造のために、多くのデザイナー、研究者、空気力学や材料開発の専門家がプロジェクトに加わって開発が続けられ、プロサーファーのギャレット•マクナマラがポルトガルのナザレでそのボードの強度と耐久性を証明したものだ。
初期型シルバーアロー
その際、メルセデスベンツは遠隔計測システムをサーフボードに内蔵搭載し、時速62.4キロという記録を残した。今でこそ実用化され市販商品ともなったRipCurl社の加速度センサー内蔵のサーファー向け腕時計が発売されているが、この遠隔計測システムはサーフボードに内蔵搭載されており、研究開発とはいえサーフィンギアとしての公式発表としては世界でもっとも早い段階でセンサーを搭載したサーフボードを発表したのがメルセデス・ベンツということになる。
さて、今回の発表がもたらす意味は、サーフボードの耐久性の進化やテクノロジーの進化ということだけではない。
「天然コルク製」のサーフボードは、サーフボードというプロダクツの未来を変える可能性さえある点だ。
3photos via Corticeira Amorim
プロジェクトに参画したCorticeira Amorim社は、コルク製品の研究開発においてポルトガルでは名だたるコルクメーカーであるが「ポルトガルはコルクの世界最大の生産国。ナザレのモンスターウェイブには耐久性のあるコルクボードは完璧に理にかなっている」とギャレットは語っており、耐久性が素晴しいことはもちろんだが、カギとなるのは、「天然コルク」が持続可能な環境に配慮した素材であることだ。
サステナビリティ(sustainability)。すなわち持続可能な、つまり我々の社会と地球環境を「ずっと保ち続けることができる」意味において、環境に配慮された素材。もちろん木製のサーフボードはかねてから存在するが、サーフボードの重量、柔軟性とスピードなど、ハイパフォーマンス用のボードとしてのプロダクトという意味においては、これまでにない最良の素材と言えるかもしれない。それが実用化されるまで、その真価はわからないが、プロジェクトチームは「今までにない効率的なサーフボードを構築しようとしており、これらは世界中のサーフィンの歴史をも変える歴史的な瞬間。世界のサーフィンを牽引する最高のサーフボードを作る」と伝えている。
サーフボードはテクノロジー進化と同時に、サーフィンの技、パフォーマンスも向上している。そして、今回の素材。
まさにメルセデスベンツおよびサーフィン大国であるポルトガルの挑戦は、世界をも変える可能性を秘めており、その動向が注目される。
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