メタリカのカーク・ハメットとロバート・トゥルヒヨ、フー・ファイターズのギタリスト、クリス・シフレット、そしてコールドプレイのクリス・マーティン。これらスーパーロックバンドのメンバーに共通するのは、みんなサーファーだということ。クリス・マーティンに至っては英国サーフィンのメッカ、コーンウォール出身で、サーフィン界の絶対王者ケリー・スレーターが時にコーチをつとめることもあるという話を聞いたことがある。
そしてケリー・スレーターと親睦深いミュージシャンが、パール・ジャムのエディ・ヴェダー。エディ自身がサーファーで、ケリーやロブ・マチャドらと公私ともに仲が良く、ライブのステージでゲストにケリーを呼び共演したこともあるほど。以下の記事は米国アウトサイド誌に掲載されたインタビュー。少し古い記事だが、写真家スティーブ・シャーマンが撮った写真からはバックステージで談笑するエディとケリーの穏やかな雰囲気が伝わってくる。
Eddie and Kelly in the OUTSIDE magazine
こちらはマカハでシュートされたエディとケリーの波遊びの模様。カヌーに乗っているロン毛の人物がエディ??
だいぶサーフィンにハマっている様子のエディだが、彼がフロントマンを務めるスーパーバンドがご存知パール・ジャム。10作目となるスタジオアルバム『ライトニング・ボルト』をリリース。初動枚数116000枚をセールスして11月2日付けビルボードのアルバムチャートで全米1位デビューとなった。
同様にオーストラリアとアイルランドでも1位デビューを果たし、イギリスでは2位と、10カ国以上でトップ5入りを達成。現在は全米ツアー中で、年明けからはオーストラリアとニュージーランドへ。2014年は日本でも??? そう考えると、今後のアップデート情報は気になって仕方がない。PEARL JAM LIVE TOUR
新作からのミュージックビデオも続々と完成を見。リリースに先駆けて公開されたショートフィルムではSUPを楽しむ姿も収録し、4度世界を制したサーフィン界の大人物、マーク・リチャーズとのインタビュー映像も公開されている。
SIRENS
SHORT FILM
MARK RICHARDS & PEARL JAM
ジャック・ジョンソンのようにサーファーからミュージシャンへ大成したのではなく、大成功を手にしたミュージシャンがサーファーとなったひとつの例。エディ自身がシアトルという、オルタナティブロックの聖地を出身とする背景が、メインストリームではない“何か”を許容する眼を育んだのかもしれない。
そして同様のケースはカリフォルニアのベニスビーチにも見られ、かのドキュメンタリー作『ドッグタウン&Zボーイズ』ではナレーションをショーン・ペンがつとめた。当初、製作陣はあまりのビッグネームに無謀なオファーだと考えていたが、自身が有名になる以前にドッグタウンは遥かに有名だった、とする理由から快諾されたという、何とも粋なエピソードがある。
エディもショーンも、メインストリームからこぼれた、はかないほどに小さなダイヤに優しいスポットを当てるのは、おそらくシアトルやロサンゼルスという場所で育ったことと無関係ではないだろう。そう推測すると、ふたりの関心が『イントゥ・ザ・ワイルド』へ向いた理由も分かる。ショーンが監督、エディがエディ名義で楽曲を提供した同作は、世間に背を向けて完全なる自由を求めた若者が主人公だからだ。
つまり、無垢な自分でいることへの戦いがふたりの共感を呼んだ。もしそうなのだとすれば、彼らがサーファーやドッグタウンに魅かれたのも理由はそう変わらない。サーファーもドッグタウンの住人も、どちらも歳を重ねても無垢さや無邪気さを失わずにいる存在だ。彼らのアティテュードがエディとショーンのハートを射抜いたのである。