先週末、東京・千駄ヶ谷のロンハーマンをはじめ各所でプレミアショーが催された『SLOW DANCE』。あのデーン・レイノルズがディレクションを手がけ、クレイグ・アンダーソンをフィーチャリングした話題作は、両人が来場するゴージャスな雰囲気のなかで公開された。
奇しくも誕生日が同じというこのふたり。しかしパーソナリティとサーフスタイルはだいぶ違う。
ご存知デーンは世界最高峰コンテストツアーのWCTをフォローする実力派で、ギンギンの最先端サーフを体現する実力派。性格はベンチュラというカリフォルニアの郊外育ちらしいオープンさで、気のいい兄ちゃんを思わせる。
クレイグは豪州ニューキャッスルという先鋭的なショートボーダーが集う場所に育ちながら、長めのシングルフィンを持ち出してのクルーズを好むなど趣向性はド渋そのもの。ハニカミやさんで、取材慣れもしておらず、いいたいことはあるのだろうけれどモゴモゴと照れてしまう。
そんなように相違点は多々あるものの両者に共通するのは、イイ奴、ということ。でははたして、若いふたりのイイ奴がつくりあげた作品とは、いったいどのようなものか。
期待感は、全編モノクロ、BGMにGIVE YOU WHAT I GOTを使用したティーザーを見た時、瞬時に膨張していった。クラシカルなゆったりとしたメロディーにあわせ、ファンな波をシングルフィンでクルーズするデーン。きっと空は快晴で、海はブルーで、でもモノクロだから色は分からず、けれど笑みをたたえてサーフを楽しむクレイグとデーンをみればファンな様子であることは一目瞭然。こちらのイマジネーションがかき立てられる表現に「やるなぁ〜」と思わされた。
そして完成品はよりサーフィンの普遍性を追求した仕上がりへ。なかでも旅の数々は、彼らレベルのサーファーでも異国への興味は募るのだなと、改めて確認させられた。圧巻はラストのフッテージ。延々と続くパーフェクトなレフトのバレルに、トラックを優雅に描くクレイグのサーフには圧倒される。ロケーションの地はナミビア。世界には、まだまだ知られていない波があるのだということも、『SLOW DANCE』は教えてくれたのだ。
※プレミアの模様はクイックシルバーのサイトへ
Tags: Pickup